Googleドキュメント用の簡易校正ツールを作ったよ(編集者・ライター向け)

ツール

【新バージョンを公開しました 2022.2.27】
Googleドキュメント用の簡易校正ツール(Webライターや編集者向け)をバージョンアップしました – Heartlogic-2


Googleドキュメントを使った編集・執筆支援のツールをGAS(Google Apps Script)で作りました。普段使いには問題ない仕上がりになったので、公開します。

▼ツールの導入・カスタマイズ方法
Googleドキュメント簡易校正ツール:GASによる文章の一括置換/表記チェック

どういうツールか?

Googleドキュメント上で、文字列の一括置換と表記チェック(チェック用テーブルにある文字列を赤文字に変え、注意を促す)を行います。一括置換およびチェック用のテーブルはGoogleスプレッドシートで管理します。


Googleドキュメントで上の画面のような文章を編集中だとしましょう。メニューの右端に本ツールの機能によって[簡易校正]という項目が追加されており、クリックすると[一括置換]と[表記チェック]という2つの項目が選べます。一括置換は文字通りなので、ここでは[表記チェック]を選ぶと…。


このように、文書中の要チェック箇所が赤文字になりました。「その時」は「そのとき」と開く(ひらがなにする)表記ルールだった、「行なう」は「行う」とするべきだ、「10000000年」は桁区切りを入れて「10,000,000年」だよな、などと赤文字の箇所をチェックしていくと、表記や用語を整えられるというわけです。

どういう場面で使えるか?

編集者やライター、または企業の広報担当者やブロガーなど多くの文章を編集する人にとって、表記統一は面倒なうえにミスを起こしやすい作業です。できるだけ機械的に行えるようにするのがいいですが、媒体や企業により表記ルールが異なり、Wordなどが持つ校正ツールでも大まかにしかできないのが現状です。

このツールはGoogleドキュメント上で動作します。Googleドキュメントの利点は2つあり、1つは文書の共有が容易なことで、編集のため原稿を集めたり、修正依頼の内容を加えて書き手に戻したり、といったやりとりが非常にスムーズになります。もう1つは誰でも無料で使えるため、他者に「あなたもGoogleドキュメントを使ってね!」と勧めやすいことです。編集機能も十分だと言っていいでしょう。

テレワークの普及により多くの現場で文書共有の重要性が増していると思いますが、そうした場面で、Googleドキュメントは要求に応えてくれる相当いい感じのソリューションです。私の本業でも、原稿のやり取りをGoogleドキュメントで行うことが増えています。

どのような文字をどう置換するか/赤文字にしてチェックするかのテーブル(一覧)はGoogleスプレッドシートで管理できます。そのため、媒体や企業の表記ルールに合わせたカスタマイズもやりやすく、かゆいところまで手の届くツールにできます。

この手のツールは、個人の作業であればライティングに慣れるほど利用頻度は下がるものです。しかし、表記ミスはどれだけ慣れてもゼロにはできないので、チェック能力の高いツールがあれば、いつまでも頼りにできます。また、何人もの書き手の原稿を集めて編集する立場の人は、書き手ごとにクセがある原稿の表記を簡単に統一できるようになり、かなりの作業効率アップにつなげられます。

私はかつて「秀丸エディタ」のマクロでこうしたツールを使っていましたが、自分だけのライティングではしだいに使わなくなり、すっかり放置してしまっていました。今になっては周囲に秀丸を勧める感じではないし、チームで共通のツールとして使いやすいGoogleドキュメントで、こういうことのできるスクリプトは公開されていないか…と探してみたがないので作りました。

一括置換/表記チェック用テーブルはどういうものか?

置換およびチェック用のパターンは、それぞれGoogleスプレッドシートで管理します。メンテナンスと共有がしやすく、便利です。


一括置換用のテーブルの例。A列の文字列を、B列の文字列に置き換えます。C列以降にはコメントなどを自由に記入できます。正規表現も利用可能です。


表記チェック用テーブルの例。A列の文字列を、赤文字で表示して確認を促します。正規表現を使用する場合はB列に「1」を入力します。C列以降にはコメントなどを自由に記入できます。

文字列が短すぎてさまざまな使われ方をする、文章中の意味まで精査して検討する必要があるなど、機械的な一括置換では事故(置換すべきでない箇所まで置換してしまう)が起こりうる場合、置換せずに赤文字によるチェックを利用します。

正規表現とは、簡単に言えば特殊なルールによって複数パターンの文字列に適合するようにすることです。一括置換用テーブルのセルA14には「問(合|い合|合わ)せ」と入力されていますが、これは「問合せ」「問合わせ」「問い合せ」の3パターンの文字列に適合するルールです。れれらをセルB14にある「問い合わせ」へと置換して、表記を統一します。

よく使いそうな正規表現のパターンは、上のサンプルに例として記入しました。これらをアレンジしたり、その他の使いたいパターンをWebで調べたりしながら、試してみてください。以下のページはリファレンスとしておすすめです。

基本的な正規表現一覧 | murashun.jp

終わりに

まだ問題も潜んでいると思いますが(一部の特殊な記号で正常動作しないとか、長いドキュメントだと遅くなるとか)、なにぶんプログラミングは本業でないもので、どこまでブラッシュアップできるかは分かりません。バグレポートやアドバイスなどフィードバックをいただけることに期待しての公開です。

導入方法は、プログラミングの経験がない人にも分かるようにと意識して書きました。が、不明点があったら質問をください。

フィードバックや質問は、Twitterの@heartlogicまでお願いします。

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Googleドキュメント簡易校正ツール:GASによる文章の一括置換/表記チェック

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