ソーシャルメディアの「エコーチェンバー」が破れた話

ネットの話

ネットは、ソーシャルメディアはエコーチェンバー(反響室)である。自分の発言や興味関心と似た情報ばかりが集まり、思考をどんどん偏らせてしまう、といったことが言われるようになって久しいけれど、例外的な事例があったのでメモしておきたい。

ここのところ、YouTubeをよく見ている。仕事中に安心してつけっぱなしにできるラジオ局が特になく、オンデマンド動画配信やらも見たいものは見尽くしてしまったので、それらに代わる仕事中のBGMとして。

YouTubeではゲームや音楽系のチャンネルを見る程度で、一時期は「Among Us」の動画が毒にも薬にもならずいいなと思っていたのだが、数カ月流しまくっているとさすがに飽きてきた。

で、「おすすめ」に表示される動画をパスしまくっていたら、ときどき全然関係性がわからない動画が出てくるようになってきた。

その中で面白くてよく見るようになったのが、「るーいのゆっくり科学」という科学トリビアを「ゆっくり」機械音声で解説するチャンネル。掛け合いの話の運びが気持ちよく、ネタも面白い。

例えば、こんな動画とか。

ゆっくりトリビア系動画をずっと見ていたら、科学系から今度は三国志関係の動画が増え、その後は歴史系動画が増えてきた。

その中で面白かったのが「俺の世界史チャンネル」。こちらも掛け合いのテンポが気持ちいいし、ところどころに作り手の方の感想的なコメントが加えられているのもいい。

三国志から西洋史、人物や事件など切り口が多彩で面白い。タイムリーなところで、伊藤穣一氏絡みの事件も解説されている。

オリンピックの開会式を見て「これだけの国・地域が一旦戦争を止めて集まってるのはスゴいことだ」と感じたのは、こちらの動画を見ていた影響が多いかもしれない。

「俺の世界史チャンネル」のうぷ主さん(ニコニコ動画的な用語だが、チャンネルで自称しておられるので使わせてもらう)は面白い経歴をお持ちのようで、もともとは世界史のブログをやっていて、出版社から声をかけられたが書籍企画が実現せず、いろいろあってYouTubeのゆっくり解説を始めたら予想以上にビュー上がって、「自分のやりたいことはYouTube向けだった」と感じたという。

一時期YouTubeから収益化のアレをはく奪され、機械音声がダメならということで、世界史の講義動画風の実写動画を上げたりもされていたようだ。

私もおそらく「俺の世界史ブログ」だったら見つけても「あとで読む」と思って読まなかった可能性が高く、“ながら”で適当に流しているからこそ見ているという面がある。そういう時代だよなあ、と思いながら自分はこうやってブログを書いている…。

このように、ここのところYouTubeでエコーチェンバーというよりはセレンディピティ的な経験をした。これは要するに、YouTubeに(もしくは世界に)、私のコンテンツ消費に対応できるだけのコンテンツ量がない、ということではないかと思う。だから、少しずつズレたテーマのコンテンツがおすすめされていき、ユーザーである私は変わったものが見られるようになった。

ちなみに、一時期ASMRの環境音動画を見ていたら、「ASMR耳なめ動画」的なヤツがバンバン出るようになったりもしたこともあった。もしかするとYouTubeのおすすめの仕様が不思議、というだけの話になるかもしれない。

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