書店でふと目に入った「ライフワークの思想」というタイトルに、何か今の自分にとってのヒントがありそうな気がして買ってみた。

外山滋比古といえば「思考の整理学」が有名であるが、こちらは学生~30代ぐらいまでの、これから諸々を積み上げていく人向けの内容。その年代を過ぎた後の人生について「ライフワーク」という視点から語るのは、面白かろうと。

人生の中で積んできた諸々の経験を「ねかす」ことで、その人ならではの「酒」のようなものができる。混ぜて完成のカクテルではなく、「ねかす」ことで熟成・発酵させたオリジナルの酒であることが大切で、人生の終盤ではいかに自分の酒を造るかを考えるべきだ、と、大まかにはそんな感じのことが書かれている、と理解した。

ところで末尾の「文庫版あとがき」で述べられているが、本書は雑誌掲載のエッセイをまとめたもので、タイトルずばりのライフワークに触れている内容は、第1章に収録のエッセイ2本に過ぎない。

以降の章は「知的生活考」「島国考」「教育とことば」と、無関係とも言い切れないがライフワークそのものの話題だとも思えない。どうも最初は「中年閑居して……」というまったく違うタイトルで出版され、その後文庫化にあたって「ライフワークの思想」と改題されたらしい。

ちなみに、「ねかす」をはじめ、本書の内容の中心となる考え方は「思考の整理学」でも語られていたことの、焼き直しという印象が強い(読み返そうと本棚を探したが、どこかに行っているようで未確認)。

なので第1章以外はナナメ読みしかしていないのだけども、今更そんな新たに構えることもないなと思え、自分の「酒」と言えるものをお出しするのが一番いいのだなあと確認できたという点だけで、面白かった。